2017年05月01日

多分 天に届く声

カウンセリング、カウンセリング、レイキの後、新宿を目指す電車に乗る。

Iさんがとある法人でライブを開く日だったから。

誘ってくれたのがつい先日バッティングセンターで一緒にボール叩いた日だから半月と経っていない。

それまでIさんがそういう活動をしていることすら知らなかったのだから。

「30日は休み?来て下さいよ。」

休みではあるがカウンセリングデーだった故、逆算しても後半の部を少し観れるくらいだったけれど、行くと答えた。

あの約束の後のこと。

二人ともある意味馬鹿だからバッティングやキャッチボールの後、妙に不調な日があって「・・・。Iさんも筋肉痛?私も今日はふるわない。。」と言っていたのだが、実は筋肉痛というよりも二人とも肩やら腕やら肘を痛めているということに気が付いた。

何で痛めるほどやるんだか意味不明。大人なのに。

その時もキャッチボールをしているときで、ボールのやり取りをしながら「ねえ、ライブ前にこれやってて大丈夫?ギター弾けなくなるんじゃない?」と心配して言ったのだが。

「関係ない。」と強いボールが返って来た。

それを近くで聴いていた人が「え?Iさん、何をやってるの?何かやってるの?(ここ以外の日)」と訊いたところ、Iさんが「何でもない。」と答えつつ、少し嫌な顔をした。

しまった。そうか。うかつに大声で訊いてしまったから他の人に訊かれた。で、誰にでもは話したくないことだったんだ。

それから仕事中にその話をするのは止めた。

当日、立川から新宿方面にかけて出発したが、着いた頃終わってしまうかも知れないとハラハラした。丁度来た特急かいじに乗るほどに。

会場に着いたら、関係者の方々が「え?」という感じで見て来る。

やっぱりなあ。なんか、異物なんだろうな、私。

こっそりと入り口付近で立って観ていようと思ったら、「もっと奥にどうぞ。」と追いやられたので、さささーっとお客さんの前を横切って奥の端っこに行った。

Iさんはバンドの中心で仕切っていた。

仕切ると言ってもホームに居るときのテンションと全く変わらない。つぶやくような声で観客に話しかけたり、親し気なバンド仲間の長い解説に「良いから早くして。」と静かに突っ込みを入れて皆を笑わせている。

忙しそうなので最初は私に気が付かないのでほっとしていたのだけど、真ん中付近にかつてホームで働いていた方がいて「尾崎さん。尾崎が来たみたいだよ。」と言うので、マイクを持っていたIさんが一番右端の私を見つけた。

ええっちゅうに。

「何、そんな端っこに居るんですか。もっと前に来て。」

いえ、とてもよく観えます。ここで大丈夫です。(話しかけないでー!)

「丁度後半をこれから始めるところですよ。」

良かった。丸々半分観れる。

演奏された曲は既存のヒット曲とオリジナルが半々くらい。

子供たちが書いた詩にIさん作曲の唄もあったし、作詞作曲共にIさんの唄もあった。

驚いたのはそのクオリティの高さだった。ギターも凄いけれど、何て声しているんだろう。

そして曲の合間に観客の子供に話しかける。「何が良い?ゲゲゲの鬼太郎?今度練習しておくね。」

多分その子がゲゲゲの鬼太郎好きなんだろうな。

いつか話しつつ、道端で私の掌に書いてくれた指文字。あの光景が至るところで見られた。同時通訳かテレパシーのように心を伝えている技術。

それはそうと、歌も声もギターも凄いと思ったのだけど、実は一番ビックリしたのはその前の話だった。

Iさん以外の他のバンドマンが歌っているとき、Iさんはギターではなくて、菓子折りの空箱を片手に持って掲げた。

え?何、それ?

ただ箱をゆっくりと動かしながらリズムに乗っているだけ。

その箱から海の音が聞こえていた。よくある手法なのだけど、その箱を動かす手つきと身体のリズムが凄く美しかった。

どこにでもあるお菓子の空箱から聞こえる砂の音。海の音。

その紙の箱すらIさんが持てば素敵な楽器とダンスになってしまうのか。ゆっくりゆっくりと動いていて、普段ボーイッシュに見える人なのだけど、その時だけは巫女が舞っているように見えた。

参加者の方々を見ていても素敵でパワフルな団体だなあと見て取れる。皆、皆、笑顔だった。少し泣いた。

最後に「みんなで写真を撮りましょう。」ってのが聞えたので、部外者としては気まずい。するりとさりげなく抜けて会場を後にした。

駅の喫煙所で電車に乗る前。

つくづく「やばい。かっこよすぎる。」としみじみ思った。ミスチルがちょっと入っている歌い方。

いや、でも多分、さんざん音楽の話はしたが・・・何かに似ているって言ったら怒られるだろうな。

良いもの見せて貰ったと感謝した。

考えてみれば私は、何も知らない頃だったのに、あの夜、こんな人から愛用のギターのピックをかつあげしたのか。練習やライブの仕上げに影響しなかったのかな。

キャッチボールといいバッティングといいピックの無心といい、邪魔ばかりしているな。

でも、多分本能的に貴重なものだと分かってしまったんだろう。

いや、待てよ。楽器も歌もダメだと言っている私にピックを出して来て「あげるよ。」と言ったのはIさんの方だった。

もっとも最初に出して来たのは新品の方だったけれど。

「新品じゃなくて使い古したやつをくれ。」と言ったら、二つもくれたんだ。一つはビールのグラスの横に、もう一つは手渡しで。

銀の斧も金の斧も欲しがった私だが、そのまま与えられた。もっとも、どちらが金だか銀だか、さらにいうと銀と金の価値も人間が決めるものだからたいしたものではない。

むしろ、それ以上の何か。
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今日も最後まで読んで下さってありがとうございました。あなたにとって良い一日でありますように。

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posted by かおる at 06:00| Comment(0) | 趣味&ちょいと小旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする