2017年06月11日

何も投げないけれど受け取る時期

ホームナースでの仕事中、時折新しい職員さんに出くわす。

時には喫煙所で。

初日に「●○です。隣接の施設に先日から勤務しております。看護師さんですか?」と挨拶された。

ああ、隣には喫煙所がないからわざわざこちらに吸いに来ている方々のお一人か。

それから4〜5回くらい遭遇することがあったが、まだ入職なさってから1〜2か月しか経っていない。

それでも初めての遅番や初めての夜勤の様子をほんの数分の間に話して下さっていた。

やはりきついようだ。体格良くて力もありそうだけど、神経的にきついもんね。職種が違ってもよく分かる介護職員の苦労。

「もうダメだなあ・・・と思って・・・。夜勤の回数は減らして貰おうと思っているんです。あーあ、あと数日で連休取れるから野球でも観に行って来ます。」

あ、野球好きなんですね。

という会話から始まったのだけど「見えないー。野球好きなんですか?」と訊き返される。たまたま胸ポケットにあったのがこれまたIちゃんがある日ロッカーに貼っておいてくれた丸選手のカード。

「カープ女子ですか?!」

いえ、そうじゃないんです。これこれしかじかで野球そのものが好きなんです。と分かってくれそうな人にだけにする説明をする。

彼女はカープ女子とのことでキャンプまで観に行く人らしい。

出たよ と笑うと彼女も爆笑していた。

そして昨日、昼休みが終わる10分前、Iちゃんと三階まで昇るべく一階のエレベーターの前で待っていると、相談員のSさんが向こうの方から「尾崎さーん、また転ばなかった?」と笑いながら早歩きですれ違ったかと思うと、一旦事務所に戻りすぐにこちらへ戻って来た。

「いつも疲れてるから、これ、飲んで。」と何かを渡して去って行った。

見るとそれはアサイーベリーで作られた健美酢というものだった。わざわざ綺麗に包装してある。

彼女とは互いの苦労が分かる故よく共感したり苦笑いしている。

独立職でそれぞれ違う立場でありながらも同じメンバーに関わる苦労の質が理解し合えているのでしばしばこんなことがある。

目を合わせただけとか、廊下をすれ違っただけで互いの疲れた様子や表情を観て吹き出し笑いを同時にしつつ「お疲れさまです。」とすれ違ったり。

きちんとお礼を言わないうちに去ってしまわれたのだが、それを横で見ていたIちゃんが「何、それ。」と言う。

「え?」

な、何か気に入らないんですか?

瓶ごと手渡しつつ「スーパーフードのアサイーが入っている御酢みたいだよ。多分水やお酒で希釈して飲めるやつ。」。

Iちゃんは一瞬手にとって眺めたが「けっ。女子が飲むものだ。」と投げるように返して来た。

あなたも女子でしょうがっ!
それに、人がプレゼントされたものをばっちいものに触れたかのように返すとは何事か。

まったくこの人と話していると、私はついつい声を大きくしてしまうことが多い。

そこを課長が通りかかって「あー、疲れた。今こそチョコラBB飲むわ!」と笑いかけて去って行く。

エレベーターを待っているほんの2〜3分の間だったのだけど、色んな人と色んな話をするというよくある場面。

お、思い出したのだけど、そのうちの最もくだらない数秒は、kyoneが通りかかり私を見ながら「ちっちぇーなー。ずいぶんちっちゃい看護師だな!」と去って行く場面。

なっ!

同じ身長のくせに!一まわり以上年下のくせに!しかも、私があんたに何をした?と反論する間もなく去ってしまわれるし、次の瞬間には他の人から別のストロークが飛んで来たり。

エレベーターがやっと空いてIちゃんと屋上で昼休みの最後の一服をするために乗り込んだわけだが。

その様子を不自然なほど至近距離で立ち止まって観ている人が居た。

急いでいる人々と短い間に色んな言葉を交わした故に、その人と一言も話せなかった。それが例のカープ女子だった。

誰がどこで何をしているか把握しているという魚眼な職業病なのでその人のこともずっと気が付いていたのだが。

最初はジャージ姿のIちゃんと私がグローブの袋を下げて二人でエレベーターを待っているのを不思議そうに見ていた。「何、この人たち。何で職場で汗かいてるの?同じ袋引っ提げて。どんな取り合わせ?」という感じでガンミ。
目は口ほどにものを言う。

本当は挨拶したかったし、「あ、これはね・・・」とか、実はキャッチボールをやっていてね・・・等、一瞬目が合った際に話したかったのだけど、先述のように慌ただしくて話せなかった。

エレベーターが開いても何故だか一緒に乗り込んで来なかったので「???」と不思議に思っていたが。

翌日である今日、喫煙所で会った。

そう言えば前日のその時、目の下に隈が出来てるな、元気ないなあとそれも気が付いていたのだが。

「夜勤はもうやめようかと思って。正社員を止めさせてもらえればしなくて済むかな。あたし、病んでるんですよ。」とタバコをくゆらせながら未だかつてないほど気落ちした様子で話す。

そして病院にかかって以前にもかかったことがある心の病が再発したことや仕事をセーブする話、親御さんの話をしてくれた。

考えてみればしっかり聞けば5分くらいでこんなにたくさんのことを聴けるのだなあと思う。もちろんそれは、この人の心を開く能力に寄るところが大きいのだけど。

私は、その対処の仕方や判断に「知識があって素晴らしい。良い判断が出来ていて偉いと思います。」と称賛を送った。

残り5分で内服薬についての話もしてくれて、それについても「良いと思います。命が大事。」と伝えることが出来た。

そして、必ず良くなるということ。

「うっ。」と声がもれていらした。

物凄く頑張っていらしたんだ。

弱いんじゃないよ。誰でもどこかが病気になることがある。その上で良い判断をなさった。

もっと早く話せれば良かったのだけど、何分仕事中も休み時間もこの喧噪。

ただ、出会ってからの逢瀬の時間を合計したとしても30分にも満たないこの短い間に、「話しても良い人間」と判断してくれたことが助かったし、自分自身も知ることが出来て良かったと思った。

今は何も言わないけれど。

そのうち治って来たら、キャッチボールしましょう。

今はこちらからはふらないけれど、あなたの気分が乗ったとき、また野球の話をしましょうよ。
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今日も最後まで読んで下さってありがとうございました。あなたにとって良い一日でありますように。

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posted by かおる at 06:00| Comment(0) | 恋愛・友情・仲間とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする