2017年07月15日

1シーン

まだ半年も経っていないのだけど、その頃、色々と落ち込むことがあった。

色んな人との関わり方、その形というものがあるけれど、中には全然異質なのに理解し合おうとしてトラブル関係というものがある。

何故に理解し合えないのか?というと、両方ともが自分を理解して貰いたいの一点張りだったからだ。

優しさが互いに足りなかった。自分自分なのね。今思えば鮮明に分かることだけど。

怒りをぶつけられるし、何だか家族やら恋人やらにぶつけるような感情までおっかぶせられるし、これはどうしたものか?と悲しかったのだが。

ドン引きして終わりにしたいのに物凄い勢いで何かを訴えて来たり。そんな折、エレベーターが途中の階で止まって開いたのだが、Iちゃんが利用者様を入浴場からフロアに送り届けた帰りだったのだろう。

ジョギングのポーズでエレベーターの前の廊下をぐるりと円をかくようにして走って見せて乗り込んで来た。

沈黙した後、ハハハ!と笑った。

何の仕事でも良いのだけれど元気に一生懸命誰にアピールすることもなく、しかも面白くやっている。

私が笑うと足踏みをして見せてくれてさらにふざけてくれた。

それからもとあることから逃げ回っていたことは否めない。

でもいつも笑わせてくれた。

さらに言うとその笑っている私に暖かく面白く接して来てくれる人が他にも居た。

けれども、私が笑顔でないとき、その人の顔も曇ってしまう。何を期待されているのか?も分かるし私にガッカリしているのも分かる。

けれども、どうしようもなくて、これまた面倒なことになっている折、突如Iちゃんがバッティングに誘ってくれる。

6月が空いたので二か月ぶりだった。しかも今月は野球も観に行けたし。

気分転換なんて出来ないよ・・・と思っていたのだけど、いつの間にか普通にまた笑っていて、気がまぎれるってこういうことなのだなと思う。

そう言えば私はこの人に何かを分かって貰おうとか微塵も思わないな。

どんなに助かったか話す気にもならない。話さなくて良いと思っている。

むしろ無口だったIちゃんの方が素の自分のことを喋ってくれている昨今。

いつも暴力をふるう利用者様がお風呂に入っているとき、本当にその寸前までわめいて拳を振り上げていたのに、Iちゃんが顔を近づけてじっと目を見つめて歌い出した。

誰に聴かせるわけでもなく、その人だけのために顔を近づけて、じっと目を見つめて。

長崎出身で演歌好きのそのお婆ちゃんは、一緒に歌い出した。

とても可愛かった。

それにしても小声で歌っていてもIちゃんの歌唱力と心の込め方が分かる。

それがお風呂に響き渡っていた。とても小さな声なのに。

少し前にその人のお腹から出血があるとのことで呼ばれたためその場に居合わせた私だったが、そのシーンをほれぼれとして観ていて、そして、やっぱり笑いがこぼれた。

気が付けば私だけでなくその場に居た全員が聴き入っていた。

Iちゃんはこのお婆ちゃんにいきなりグーで顔をぶん殴られたこともあるというのに。

優しく語り掛けるようにその歌を歌っていた。

私は自分の何かが間違っているような気がすることもあれば、自分が絶対正しいと思うこともある。

けれども、強いて言えば、愛することが出来る人は強いなということ。

100は真似できないけれど、そのエッセンスに触れることが出来て、とても幸せに思う。
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今日も最後まで読んで下さってありがとうございました。あなたにとって良い一日でありますように。

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posted by かおる at 06:00| Comment(0) | 振り返り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする