2017年03月01日

巻きタバコとたかたか鬼

まあ、些細な話なのだけど。

とかくデリケートになりがちな最中、昼休みの屋上がポカポカ天気だったことがあった。

つい最近解放されたばかりなのがこの屋上なのだけど、なかなか見晴らしが良い。

私が休みの間に開放されたその屋上へ初めて登った際、入浴係の女性ペアと三人で一服していたのだが。

他愛のない話をしているうちに、ついつい辺りに目が行って、私たちが立っているところよりも2メートル弱くらいの高さの台がいくつもあるのに気が付いた。

その高台は見渡す限りの屋上に幾つか見えるのだけど、ボイラーの配管などが周りにあって、もちろん人が登るようなところではない。

でも、何だかうずうずして来てしまって会話の途中でとうとう登って高台に立った。

いつもクールなお二方だけど、特にクールな方の女性が「止めて下さいよ!魔女みたいだから。飛んでっちゃう気?」と声を荒げた。めずらしいこともあるなと思った。←いやいや、よっぽどな行動だったんだろうよ、おまえが。

多分その日の白衣が上下ロイヤルブルーだったから魔女みたいに見えたのかな。

が、もう一人の女性。ボーイッシュな方の彼女はそれまで屋上の地べた、つまりはアスファルトの上に仰向けに寝転がっていた。

それだけでも大胆なのだけど、もうお一方が「降りて!」と言っている最中にむくっと体を起こしては見上げ、にやっ!と笑ってわずか2メートル平方もないであろう同じ台の上に身軽によじ登って来た。

そして一緒に大の字に寝転がった。空が別物みたいに綺麗だった。

狭い屋上だが「思い切りは出来ないだろうけど、今度キャッチボールしたいですね。」と寝転がったままの彼女が言う。

そうですね。ボイラーとかわけわかんない障害物がいっぱいで思い切りは出来ないでしょうけど、どうせならグローブつけてやりたいですね。

「そうですね。やっぱりグローブと硬球でパシッとね。」

どこにしまったかなー?グローブ。今度探してみます。

「あ、大丈夫。私、二つ持っているし。」

そんな会話の最中下を見下ろすと、いつぞやジンと来るようなことを言ってたばこを捨てて立ち去った彼女の方が魔女魔女言うのは止めてこちらを見あげている。

〇〇さんもおいでよ!と言うと、頭をふる。高いところが怖いのか?いや、そうだったら屋上自体に来ないよな。

釘付けになって下の彼女を観ていると横で一緒に転がっている方の彼女が「〇〇選手のサインボールをこのためにおろしちゃおうかな。」とか言っている。

その時、下にいる彼女が一言、こう言った。「それより、たかたか鬼やろうよ!」

絶句した。

物凄くあどけない顔だった。そして爆笑した。

ギャップあり過ぎ。

でも、その後、何日も何日も入浴場に処置をしに降りると極めてクールなテンションで力強く働いている大人の二人しか見れない。

*****

さらに、来る日も来る日も心がくじけてしまいそうな日々が続いて、今日の屋上も寒波の最中。暖かいのはあの一日だけだったのか。

見ると、このお二方も丁度休憩に来ていて「それ使って下さい。」と言うのでふと見ると、小さな小さなお尻だけ乗っかる折り畳み椅子がおいてあった。持って来たんかいっ。

ちなみに屋上に来る人全員が「これ持って来たのは尾崎さんじゃないか。」と言っていたそうだ。違うし。

そして私に椅子を譲っておきながら、自分はヤンキーのようにしゃがみ込んでいる彼女が吸っているタバコにふと目が行く。

あれ?そのタバコ、何の銘柄?なんか、かっこいいっすね。

人差し指と親指だけでつまんで吸いつつ、もう片方の手はすっぴんの自分の頬や顎を撫でている。外見は目がクリクリした美人なの、にショートヘアでそんな仕草をしていると西部劇のガンマンみたい。なんだかボーイッシュを通り越して男っぽいなんだよな。

「これ?手巻きたばこですよ。ジョニーデップが使ってるのと同じ紙。喉に良いらしいですよ。」

そう言っている口調は淡々としているのだけど、どこかふざけた感じに笑ってしまう。

ジョニーデップと同じ?喉に良い?

「うん、喉に良いけど体に悪いというわけのわかんない状態ね。」

かっこいいやら面白いやらで大爆笑した。まじで稀有。そして何だか癒されるなあ。

さらに言うと、その日の後半のこと。入浴場に処置に降りた際、よりクールな方の彼女がせっせっと作業しつつ「ああ、今日、母の命日だった。」と私に言う。

・・・・・・・・・・。なんで唐突に私に言う。なんで今思い出したの?お母さまは早世なさったのですか。

普段、何一つプライベートなこと話さないし、今一つ仲良くなってんだか何だか分からないのに。

色んな疑問が浮かぶものの、実際に口に出た感想は・・・「お母さまは・・・こんなに立派な娘さんを育てられたのですね。」だった。それに尽きる。

「ははは!」と低い声の本気の笑いが出て「そう。こんなに逞しくね。」と言ってとっとと仕事に没頭なさっていた。

なんか、楽しそうだなあ。二人とも何にも流されていないなあ。

職種が違うというだけではないな、これ。

おそらくは5つ6つは年下の方々。

無邪気だけれどクールでぶれないその佇まいは真似できないし中身もコピれないものの、とても貴重な人々を目の当たりにしているような気がする今日この頃。
*****
今日も最後まで読んで下さってありがとうございました。あなたにとって良い一日でありますように。

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posted by かおる at 06:00| Comment(0) | 恋愛・友情・仲間とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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