2017年05月16日

何考えてるんだろ

インカムを初めて使った週末近いウィークデーの最後の日。

耳障りな点もあった。

そんなの、足を運んで二人で会話しやがれってなことも。しかし、遠く離れた入浴係のお二人との会話には本当に助かった。

そんな日の昼休み、グローブを持って屋上、つまりは喫煙所で一服しているとIさんが休憩に訪れた。「お。」と言って。

で、いつものごとく一服の後は一階玄関の前の駐車場でキャッチボール。K姉さんはこの日「今日は休憩の日。」と言って事務所の窓から見ているだけだった。

なので終始二人でやっていたのだけど、遡れば、最後に二人でやった日、私が取り損じたボールを追いかけていると、Iさんがその私を追い越して先に取ってしまうということが三回もあった。

自分でめいいっぱい投げたボールを自分で取りに行くなんて。

追い越されるときに悟って「ぎゃあああ!悔しいから止めろ!」と叫ぶのだけど先に取られてしまう。

靴がナースシューズのインソールタイプなためにさほど早くは走れないのが悔しかった。(でもこの同じ靴でエレベーターへと走るIさんを追い越したこともあるんだけどね。路上はやっぱり違うのね。)

そしてこの日は違うナースシューズに履き替えていた。

昔からある一般的なサンダルタイプのやつ。

この時もIさんと二人きりで案の定私を追い越して自分で投げたボールを取りに行こうとするので、そうは行くかと思いダッシュして先に取る。←まあ、厳密に言えば取り損じなければそんなかけっこをしなくて済むのですけどね。

そして、元々Iさんが立っていた位置、遠方にボールを投げた。

すると面白いもんでIさんが「何?!」とビックリして慌てて元の場所に戻って取りに行く。

しかし、間に合うはずがないので「あーあ、守っているやつがいないから3点も入っちゃった。」と言うと、「いじめだ!」と言うIさん。叫ぶのを初めて見た。ってか、私を追い越して取りに行くこと自体が「のろまめ」と言わんばかりのいじめだろうが。

性懲りもなくその後Iさんは私がボールをキャッチし損ねる度にダッシュして追い越そうとしたのだ。

その度に先に取って元の位置に投げる。

ただそれだけのことだったがIさんも私も爆笑していた。

「はい、もう55分ですよ。」と腕時計を見て終わりを告げる。

それがもう一服出来るギリギリの時間。

エレベーターで屋上へ戻って一服している際、Iさんが「疲れた。」と言った。初めて聞いた。

でも、相変わらずクール。

K姉さんがバッティングへ行きそこなって以来、再び「ねえ、行こうよ。今度いつ行くの?」と毎日のように言っていたことを思い出す。私もIさんもまたしても億劫病になっているので生返事する状態だった。

それを思い出したので「私、飲みに行くのでもそうだけど、前もって約束するのが面倒でね。ふと行きたくなった時にたまたまタイミングがあったら『今日、行こうか?』ってのが好き。」と極めて気軽に呟いたのだが。

Iさんが「いいですよ。今日にでもいいですよ。」と呟いた。

え?まじで?

「いいですよ。今日、大丈夫ですよ。」と優しく答えるIさん。

寂しいような嬉しいような。

Kyoneちゃんが「昼休みが合わないー。私もキャッチボールしたいのに。」と廊下で言った際には「いつでも相手になってやる。」とつっけんどんに呟いていた。

私には優しいんだよな。嬉しいような寂しいような。

そして桜の花の絨毯が敷き詰められていた日以来、荻窪の駅を歩いた。

急なことが絶対に嫌いなK姉さんもなんやかんや言いつつ来てくれて、介護のSさんは帰り際にIさんから「野球の練習、行くぞ。」と一言声をかけられただけでついて来た。

Iさんのバッティングはあいかわらずさえていた。

その前に、駅まで向かう道すがら、前を自転車を引っ張ったIさんと私、その後ろをK姉さんとSさんがついて来ていたのだが。

もうすぐ駅と言うときになって後ろからK姉さんが言う。「ねえ、Iさんって凄く寡黙な人なのに、尾崎さんとはいっぱい話すんだね。」と。

え?そんなことないですよ。あんまり喋ってくれませんよ。K姉さんなんていつも突っ込まれていて羨ましいと笑って返したのだが、そう言われてみれば、職場から駅まで延々2〜30分あまりIさんはずっと喋っていた。

それがあまりに自然過ぎて気が付かなかった。

若い頃、ノーヘルで原チャリに乗っていて警察に捕まってお兄ちゃんが迎えに来てくれた話や、その他諸々。途中、とあるブティックの前に太った猫ちゃんが鎮座していて二人で鋭い爪を交わしながら撫でまくったり。

他には何を話したんだろう?野球の話と。。。あとはもう覚えていない。ああ、そうだ。「昨日ね。17歳の子と友達になって作詞のアドバイスをしたんだ。」とか。

結構話してくれたのにな。

Iさんが自分のことを喋ってくれる機会は少ないせいか、無意識に私が寡黙になって聴いていたらしい。

バッティングの後、四人でご飯を食べたのだが、前回の教訓もあって王将的な店に入る。

飯ーーっていうところがIさんは好きらしいから。

職場の話題や愚痴をお向かいの二人が普通に話している間に、Iさんはもくもくとどんぶり飯を食べていた。

その前、注文する際のこと。

基本的には公の場以外はノンアルコールで過ごすIさんが「ビール飲もうか?」と隣から言った。

あいかわらず抑揚のない声だったが、わずかに機嫌が良いなあ、バッティングの後だからかなあ?と思った。

お向かいの二人は飲まなかったが、私たち二人はもくもくとごはんを食べてジョッキを空けた。

年上なのにおきゃんなK姉さんのおしゃべりに笑っているとIさんがクールに突っ込みを入れるのがおかしくて「どうしてそういう物言いなの!」と言うと、Iさんがわずかな沈黙の後「・・・わからない。」と言った。

あれ?何、今の目。

どう表現したら良いのか。

そんな機会がその後もあって、「冷たいってば。」とこれも爆笑の最中言ったのだが「分からない。」と言うつぶやきが小声なのに耳に響いていた。

何かが眠っているの?何が?それを考えると今度は私が分からないと呟いてしまいそうになる。

愚痴が続きそうなお向かいのお二人の会話。私も思わずそれに負けず劣らずの愚痴を言いそうになったので「食べたので帰りますか!」と声をかける。

Iさんは噂話や愚痴や悪口が嫌いなようだから。

駅までたどり着かないうちに「タバコ買って帰りますので。」と三人と別れた私。

その後、やや遠方の自宅まで帰って、お風呂に入って寝ようとしたのはかなり遅い時間だったのだが。

Iさんからラインが来た。

”タバコ買えましたか?
また遊びましょう
おやすみなさい。”

ただそれだけだったが。

前回もそうだったというか、考えてみればポイント的にそうだったのだけど、案外何か一緒に過ごした後まめに短い挨拶を入れて来る人なんだなあ。

それから数日後次に職場で会えた際、何だかとても気になる出来事があった。どうして?なんで?と謎に思う。

とは言うものの、長くなったのでまた今度。

でも、ほんと気になるわ。いったいどういう作りになっているんだろう?

なんかよく分からないのだけど、とにかく私は私のやることを頑張らなくては。

「心理カウンセラー・・・?・・・・・・・・・。分からない。」

ああ、そうか。そう言っていた。

そう言えば、Iさんが「分からない」とエコーするような呟き方を一番最初にしたのは、桜の絨毯の上を歩いている時だったと思い出す。あの道のあの場所も覚えている。
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今日も最後まで読んで下さってありがとうございました。あなたにとって良い一日でありますように。

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